アルギニンは成長ホルモンを強力に増やします!

【目次】

1.アルギニンは成長ホルモンを強力に増やします!

2.アルギニンは子供の身長を伸ばします!

3.アルギニンと成長ホルモンや子供の成長との関係についての試験データ

【注目情報】☆成長ホルモンを増やすにはアルギニンとオルニチンのどちらがよいか?

4.お知らせ(ホームペ−ジ責任者、参考図書)



【お問合せ先】
本ページおよびアルギニンに関するお問い合わせは本ページ責任者古賀までお願いします(Eメール:kogahrs555@nifty.com



上記以外のアルギニンの働きについてお知りになりたい方は
アルギニンで若返る!』をご覧ください。





※まとめ

@アルギニンは成長ホルモンを強力に分泌促進させます。アルギニンは、成長ホルモンの分泌を促進することで、全身の代謝を促進し、脂肪を減少し、筋肉を増やし、骨を丈夫にし、元気を取り戻し、学習能力や記憶力を高め、全身を若返らせることが期待できます。

Aアルギニンは成長期の子供の身長を伸ばします。アルギニンの摂取に加えて、
糖質や脂肪の摂り過ぎを控え、運動や睡眠を十分にとることによって、またこれを少なくとも成長期の間継続することによって、通常の健康な子供においてもさらに身長を伸ばすことが期待できます。アルギニンの身長促進作用はアルギニンによって分泌促進された成長ホルモンによると考えられます。




1.アルギニンは成長ホルモンを強力に増やします!

(1)成長ホルモンとは

  成長ホルモンは、脳にある下垂体というところで産生される、成長を促進したり、若さを保つために働くホルモンです。
  成長期には成長ホルモンが盛んに分泌され身長はどんどん伸びますが、成長ホルモンが足りないと成長が阻害され低身長になります。一方、成長期を過ぎると、成長ホルモンの量はどんどん少なくなります。成長ホルモンは、成長期の10代がピークで、その後どんどん減少し、40代で約半分に、80代では20分の1にまで減少してしまいます。また、閉経後の女性、肥満者などでは分泌量の減少が促進されます。ところが、成長ホルモンは成長期にだけ必要かというとそうではなく、成人になってからも必要で、成人で不足すると、体脂肪の増加、筋力低下、骨密度の減少、強い疲労、うつ状態、認知能低下などが起こりやすくなります。すなわち、この成長ホルモンの減少が、中年以降や老人、閉経後の女性、肥満者などでの筋肉量や筋力の減少、脂肪の蓄積、骨密度の減少(骨がもろくなります)、疲労感、意欲の低下(場合によってはうつ病)、認知症などに関係しているのではないかと考えられています。
  最近、成長ホルモンは若返りを促進する若返りホルモンとして大変注目され、老化は成長ホルモンの不足が大きな原因の一つではないかと考えられています。

  アルギニンは、足りなくなった成長ホルモンの分泌を促進することで、全身の代謝を促進し、脂肪を減少し、筋肉を増やし、骨を丈夫にし、元気を取り戻し、学習能力や記憶力を高め、全身を若返らせることが期待できます。

  成長ホルモンは、就寝後の最も深い睡眠に入った数時間内に最も多く分泌されます。「寝る子は育つ」や「お肌は夜つくられる」などの古いことわざがありますが、これは成長や美肌の形成(肌の若返り)に成長ホルモンが深いかかわりを持っていることを言い表しています。


  成人や高齢者で成長ホルモンが不足すると、@体脂肪量の増加、A骨格筋強度の低下、B骨密度(BMD)の低下、C脂質、心血管マーカー(IMTなど)の異常、DQOLの低下(やる気や活力の低下、情緒不安定、疎外感など)などの症状がみられるようになります。


(2)成長ホルモンのアンチエイジング効果

  成長ホルモンはアンチエイジング効果(若返り、美肌、育毛、老化防止、肥満改善、長寿効果)が期待できる最も強力なホルモンです。アメリカでの臨床試験(人を対象にした試験)で6ヶ月の成長ホルモン治療によって10〜20歳の若返り効果が証明されています。成長ホルモン療法によって、外見的な若返り(体脂肪や体重の減少、筋肉の増加、皮膚の弾力性の増大、シワの減少、皮膚のたるみの減少、毛髪の再生など)だけでなく、体の機能の若返り、すなわち、視力の改善、性的能力(精力)の向上、エネルギーレベルの上昇(元気が出て活動的になる)、病気に対する抵抗力の向上、免疫機能の向上、集中力の向上、情緒安定性の向上、記憶力や認識力の向上、血中コレステロールの改善、血圧低下、心臓機能の向上、肺機能の向上、骨密度の増加などの効果が明らかにされています。また、動物実験の結果から、成長ホルモンの注射によって平均寿命が延ばせることも示されています。このように成長ホルモンは、若返り、美肌、老化防止、肥満改善、長寿効果が期待できる夢のホルモンといえます。(最近(2004年、米国)の研究報告では少量の成長ホルモンでも肥満者の体脂肪と体重を減らすことができると報告されています)。

  余談にはなりますが、成長ホルモンの補充によって、うつ状態の改善や新しいことをしようという前向き、自発的になれるという効果が認められていますが、やる気をなくして自分の会社をたたもうと思っていた経営者の方が、成長ホルモンの補充により、やる気が出てきて海外に工場を新設して事業を拡大するようになった例もあるそうです(日本での例)。成長ホルモンは日本の活力を高める救世主となるかもしれません!

  海外、特に米国では若返りのために、日本よりもはるかに成長ホルモンの補充療法が盛んです。米国の優秀な管理職や経営者は、我々が驚くほど若々しくエネルギーやバイタリティに溢れ疲れ知らずですが、その元は成長ホルモンにありという話があります。

(参考図書:ロナルド・クラッツ原著「10週間であなたは若返る」)。


(3)成長ホルモンはどうやって増やすか

  成長ホルモンを増やす方法として、成長ホルモンを直接注射する方法と、成長ホルモンの分泌を促進する成分を摂取する方法があります。

  成長ホルモンは医薬品で、日本では現在、低身長症(治療基準が大変厳しいです。そのため少し低い身長を伸ばしたい、あるいはかっこよくなるために身長をもっと高くしたいなどの場合は成長ホルモンは使えません)の治療に成長期の子供にしか使えないので、アンチエイジングなどほかの用途には使えません(使う場合は医師や使う方の自己責任の下に使いますが、適応外使用になります。もちろん保険はききません)(2006年7月から、成人の成長ホルモン分泌不全症(GHD)について、成長ホルモン補充療法が効能追加の承認で保険適用が可能になりました。しかし、「重症に限る」という限定条件がついていますので通常の健康な人は保険適応にはなりません)。また、成長ホルモンはタンパク質のため注射でしか効果は示しません。経口投与や口腔内投与(スプレータイプなど)によってはほとんど吸収されませんので効果は期待できません。飲む成長ホルモンとか、成長ホルモンのスプレータイプなどが販売されていますが効果は期待できません。そのため、低身長症の治療以外の通常の目的には、体内にある成長ホルモンを分泌させる成分を摂取して成長ホルモンを増やす方法が一般的に用いられています。

  現在、成長ホルモンを最も確実に、そして強力に分泌させるものとしてアルギニンが知られています。アルギニンは成長ホルモンの分泌を試験するために医療用にも使われています。それだけアルギニンの成長ホルモン分泌促進作用は確実であるということです。

  アルギニンは、子供(6歳以上)や成人(高齢者や閉経後の女性を含む)において1日4〜9g摂取することで成長ホルモンを1.6〜4倍以上に増やすことが報告されていますので、1日数gのアルギニンの摂取によって、成長促進や、若返り、美肌、育毛、肥満防止(体脂肪減少)、老化防止、長寿などのアンチエイジング効果が期待できます。


(4)アルギニンで成長ホルモンを増やすことの利点

●アルギニンは成長ホルモンに比べはるかに安いです

  成長ホルモンを直接注射する場合に比べ、アルギニンははるかに安いです。

  成長ホルモンは大変高価で薬代だけで年間数百万円かかります。低身長症(治療基準が大変厳しいです)の治療は保険でできますが、それ以外の目的(少し低い身長を伸ばしたい、身長を高くしたい、若返りたい、痩せたい、骨を丈夫にしたいなど)に使う場合は、医師の診察費(医薬品のため医師の管理下でしか使えません)と薬代は自己負担です。

●成長ホルモンは注射でしか効果がありませんが、アルギニンは経口摂取で成長ホルモンを増やし効果を発揮します

  成長ホルモンはタンパク質のため注射でしか効果はありません。飲むと消化酵素でバラバラに壊れてしまいます。スプレーなどで口腔内などにスプレーしても皮膚や粘膜からはほとんど吸収されませんので効果は期待できません。

  一方、アルギニンは飲んでも良く吸収されて成長ホルモンを増やします(成長ホルモンを分泌させます)。

●アルギニンは成長ホルモンを増やす以外に体を健康にする色んな良い働きをします

  そのほかアルギニンには多くのすばらしい働きがあります(アルギニンのアンチエイジング効果や老化病、生活習慣病に対する効果については他のページ(「アルギニンで若返る!」)をご覧下さい)。

●成長ホルモン分泌にはアルギニンだけで十分です

  成長ホルモンを分泌させるためにはアルギニンだけで十分です。アルギニンは成長ホルモンを分泌させるために病院でも使われています(この場合アルギニンだけが使われます)。それだけアルギニンの成長ホルモン分泌促進作用は確実であるということです。

●アルギニンは副作用の心配はほとんどないと考えられます。


(5)成長ホルモンを増やすためのアルギニンの飲み方

  成長ホルモンは就寝後数時間内に最も多く分泌されますので、アルギニンはこの分泌をさらに促進するために就寝前に摂取するのが望ましいと考えられます〔低身長児の成長促進やアンチエイジングなどのために成長ホルモンを使う場合も通常就寝前に成長ホルモンを注射(皮下注射)します〕。

  成長ホルモンの分泌促進を最も効率良く行うためには、アルギニンの4g程度〔子供(6歳以上)の場合〕、あるいは5〜9g程度(大人の場合)を、就寝前の空腹時に摂取するのが望ましいと考えられます。
〔下の文献(@)から、成長ホルモン分泌促進効果が期待されるアルギニンの1日摂取量は4g程度(低身長児)、または5〜9g程度(大人)と考えられます〕。


●アルギニンを摂取する場合の注意点
  これについてはアルギニンサプリメントの正しい選び方をご覧ください。


2.アルギニンは子供の身長を伸ばします!

@アルギニンの摂取量と子供の身長の伸びの関係(3年間の試験結果)
  コペンハーゲン(デンマーク)の6歳の子供203人(男児94人、女児109人)について、アルギニン(タンパク質中の)の摂取量が身長の伸びにどのように影響するかが検討されました。試験期間は3年間でした。その結果、アルギニンの摂取量が高い子供の身長は、低い摂取量の子供より身長の伸びが大きいことが明らかになりました。特に女児ではその結果は明らかでした。一方、男児の場合はその傾向が見られました。加えて、肥満女児ではアルギニンの摂取量が高いとき体脂肪量の減少が見られました。一方、タンパク質の摂取量と身長の伸びとの間には関係が見られませんでした。

  これらの結果は、アルギニン(タンパク質中の)の摂取量が子供の成長(身長の伸び)に大きく影響していることを示しています。すなわち、(タンパク質中の)アルギニンの摂取量が多いほど子供の成長(身長の伸び)がより促進されることになります。一方、タンパク質の摂取量は子供の成長(身長の伸び)に関係していませんでしたので、子供の成長(身長の伸び)に関係があるのはタンパク質の摂取量ではなく、アルギニンの摂取量であることになります。


Aアルギニンの摂取量と子供の身長の伸びの関係(6年間の試験結果)
  コペンハーゲン近郊の児童を対象に、アルギニン(食物中の)の摂取量と子供の身長の伸びの関係が検討されました。試験期間は7歳から13歳までの6年間でした。その結果明らかにアルギニン(食物中の)は子供の身長の伸びを促進しました。

  試験は、コペンハーゲン近郊の一般の健康な児童を対象に行われました。平均7歳(6〜8歳)の686人の白人の児童(男児359人、女児327人)が試験に参加しました。試験終了時(6年後)の解析可能例数は261人でした。試験脱落例の原因は、他地への移動、試験への参加中断、データの欠落などでした。解析対象例261人(男児123人、女児138人)の試験開始時の平均年齢は7歳、試験終了時の平均年齢は13歳でした。アルギニンの摂取量は摂取した食事から算出されました。

  6年間の追跡試験の結果、7歳から13歳の健康な児童において、アルギニンの低摂取量児童(アルギニンの1日摂取量2.2g未満)に比べ、高摂取量児童(アルギニンの1日摂取量2.5〜3.2g)では明らかに(統計的に有意に)身長の伸びが高いことが示されました。このように、通常の健康な児童において、アルギニンの摂取量が少ない場合よりアルギニンの摂取量が多い方が身長の伸びが促進されることが明らかにされました。
  なお、今回の試験ではアルギニンの1日摂取量が3.2gより多い場合身長の伸びに対する効果は明らかでありませんでしたが、この理由については不明です。

Bアルギニンの身長増加作用のメカニズムが検討されました。その結果、アルギニンは成長ホルモンを増やし、骨の成長板の幅を増加させました。
  アルギニンは成長期の子供の身長の伸びを促進することが報告されていますが(上記@、Aの文献を参照下さい)、そのメカニズムが動物を使った試験で明らかにされました。

  成長期(青春期)のラットをアルギニン投与群とアルギニンを投与しない対照群に分けました。アルギニンは水に溶かし、1日に1kg当たり0.45gを経口的に28日間投与しました。対照群には生理食塩水を投与しました。検査項目は、脛骨の成長板の幅とミネラルの付着速度、柱骨量、大腿骨の骨芽細胞と破骨細胞面、血中の成長ホルモン濃度、視床下部の一酸化窒素合成酵素(nNOS)、可溶性グアニル酸シクラーゼ(サイクリックGMP合成酵素)、成長ホルモン放出ホルモン、ソマトスタチンの発現量、下垂体の成長ホルモンの発現量、視床下部の一酸化窒素合成酵素(nNOS)、可溶性グアニル酸シクラーゼ(サイクリックGMP合成酵素)のタンパクレベルなどでした。

  その結果、アルギニンを投与した群では、脛骨の成長板の幅、大腿骨の骨芽細胞面が増加しました。また、血中の成長ホルモン濃度が上昇しました。加えて、一酸化窒素合成酵素(nNOS)と可溶性グアニル酸シクラーゼ(サイクリックGMP合成酵素)(sGC
α1)のmRNAとタンパクレベルおよび成長ホルモンのmRNAの発現量が有意に上昇しました。一方、ソマトスタチンのmRNAの発現量は低下しました。

  これらの結果から、アルギニンは成長ホルモン分泌を促進することで、成長板(長骨の先端部分にあって骨が成長している部分)や骨芽細胞(新しい骨を形成)に働き、長骨(大腿骨、脛骨、上腕骨などの手足を構成する長い形状の骨)を伸ばして身長を伸ばすと考えられました。また、アルギニンによる成長ホルモン分泌促進作用は、アルギニンによるソマトスタチン(下垂体からの成長ホルモン分泌を抑制)の抑制によるものと考えられました。


【考察】
  成長ホルモンによって子供の身長は伸びます(成長ホルモン感受性の場合)。しかしながら、成長ホルモンは低身長症の子供のみが適応になり、低身長症でない子供がいわゆる単に背を伸ばしたいという希望で治療を受ける場合治療費は自己負担になります。その場合治療費は年間数百万円になると言われています。また、成長ホルモンは注射でしか効果を示さないので、毎日注射する負担は大変なものです。そのため、安価で経口的に摂取できる成長ホルモン代替物質あるいは成長ホルモン分泌促進物質が求められていました。そのようなものとして今最も有望なものの一つがアルギニンです。アルギニンは経口で成長ホルモンの分泌を促進します。しかしながら、これまでアルギニンが実際に子供の身長を伸ばすかどうか不明でした。

  上記文献
@は、6歳の子供の3年間の試験から、アルギニンの摂取量が高い子供の身長は、低い摂取量の子供より身長の伸びが大きいことを明らかにしました。
  さらに、上記文献
Aは、7歳から13歳までの6年間の試験から、アルギニンの摂取量が少ない児童(1日2.2g未満)に比べ、アルギニンの摂取量が多い児童(1日2.5〜3.2g)では明らかに(統計的に有意に)身長の伸びが大きいことを明らかにました。試験対象の児童は普通に成長している健康な児童で、特に低身長症の児童を対象にしたものではありませんでした。
  これらの結果から、アルギニンの摂取量を多くすることで、一般の児童でもより身長を伸ばすことができるということが分かりました。
  なお、今回の試験ではアルギニンの1日摂取量が3.2gより多い場合身長の伸びに対する効果は明らかでありませんでした。この理由については不明ですが、アルギニンを食物から摂っているためカロリー摂取過剰や他の食物成分の影響があるのかもしれません(例えば、糖質や脂肪の摂りすぎによる高血糖や遊離脂肪酸の増加で成長ホルモンの分泌は低下します)。

  上記文献
Bは、アルギニンの身長促進作用のメカニズムを検討したものです。動物での検討で、アルギニンによって分泌促進された成長ホルモンが長骨の成長板や骨芽細胞に働き長骨を伸ばすことで身長を伸ばす可能性が示されました。また、アルギニンによる成長ホルモン分泌促進作用は、成長ホルモンの分泌を抑制しているソマトスタチンの抑制によると考えられました。

  このようにアルギニンは、健康な通常の成長をしている子供で身長の伸びを促進することが明らかになりました。この結果は数百名の児童が参加した3年間および6年間の試験で明らかにされました。またアルギニンによって分泌促進された成長ホルモンが、外部から注射によって投与された成長ホルモンと同様に、成長板に働き骨を伸ばすことで身長を伸ばすことが考えられました。すなわち、アルギニンの身長促進作用は医学的にも(医学的事実として)、科学的にも(メカニズム的にも)明らかにされました。

  以上の知見から、通常の健康な子供(成長ホルモン感受性の場合)が身長を伸ばしたいときどうすればよいでしょうか。以下のような方法がすすめられます。

@アルギニンを多く含んだ食事を摂る。但し、糖質や脂肪の摂りすぎは成長ホルモンの分泌を妨げるので糖質や脂肪を摂り過ぎないようにしてください。
A運動、睡眠などは成長ホルモンの分泌を増加させますので、運動を十分にし、睡眠を十分にとることが重要です。
Bこれを少なくとも成長期の間継続する。


  以上の生活を成長期の間続けることで、これらの生活をしてない子供に比べ結果的に身長が5cmあるいはそれ以上異なってくる可能性があります。

  一方、低身長症あるいはそれに近い児童の場合、低身長の原因としていろんなことが考えられますので、先ず小児科医にご相談下さい。


ご注意:アルギニン(アミノ酸として)は吸収が良く必要な量を手軽にとれるため、そして糖質や脂肪の摂りすぎの心配がないため使用したい成分ですが、子供の成長(身長の伸び)促進のための栄養補助として使用するときは、栄養士や小児科医にご相談されることをおすすめします。また、安全性の心配がない信頼できる製品をお使い下さい。



●アルギニンを摂取する場合の注意点
  これについては『アルギニンサプリメントの正しい選び方』をご覧ください。



3.アルギニンと成長ホルモンや子供の成長との関係についての試験データ

@アルギニンが成長ホルモンを増やすデータ(臨床試験データ)


●Belloneらは、低身長児にアルギニンを摂取させると成長ホルモンが増えることを示しました(J. Endocrinol. Invest., 1993; 16: 521-525)。
  低身長児(5.5〜13.8歳。31人)を対象に、アルギニンを経口または注射(静脈内)で投与したときの成長ホルモンの分泌の程度を検討しました。低身長児(11人)にアルギニン(塩酸塩)を4g摂取(経口)させたところ、成長ホルモンの基礎分泌が4.2倍に増加しました。また、GHRH(成長ホルモン放出ホルモン)による成長ホルモンの分泌促進はさらに1.6倍増加しました。一方、アルギニン(塩酸塩)0.5g/kgを低身長児(10人)に静脈内に投与したところ成長ホルモンの基礎分泌が5.2倍に増加しました。また、GHRH(成長ホルモン放出ホルモン)による成長ホルモンの分泌促進はさらに2.7倍増加しました。

●Ghigoらは高齢者にアルギニンを摂取させると成長ホルモンが増えることを示しました(J. Endocrinol. Invest., 1994; 17: 113-117)。
  健康な高齢者(70〜86歳)に、アルギニン8g(7人)を摂取(経口)させたところ、GHRH(成長ホルモン放出ホルモン)による成長ホルモンの分泌促進はさらに2.7倍増加しました。一方、アルギニン10g(6人)または30g(7人)を静脈内に投与したところ、GHRH(成長ホルモン放出ホルモン)による成長ホルモンの分泌促進はさらに2.5〜3.5倍増加しました。アルギニン8gの経口摂取による成長ホルモン分泌促進効果はアルギニン10gまたは30g静脈内投与の効果と同等でした。

●Blumらは閉経後の女性にアルギニンを摂取させると成長ホルモンが増えることを示しました(J. Lab. Clin. Med., 2000; 135: 231-237)。
  健康な閉経後の女性に、アルギニン9g(10人)を1ヶ月間摂取(経口)させたところ、成長ホルモンの分泌はアルギニンを摂取しない場合(10人)に比べ2.5倍増加しました。

●Collierらは健康な男性にアルギニンを摂取させると成長ホルモンが増えることを示しました(Growth Horm. IGF Res., 2005; 15: 136-139)。
  健康な男性(18〜33歳)(8人)に、アルギニンを5gと9g摂取させたところ、アルギニンを摂取しない場合に比べ成長ホルモンの量(AUC)は5g摂取で1.6倍に、9g摂取で2.8倍に増加しました(いずれも統計的に有意)。成長ホルモンはアルギニンの摂取後約30分で増え始め、約60分でピークに達しました。

★このように、アルギニンは、特に成長ホルモンが不足したりその働きが低下している、低身長児、高齢者、閉経後の女性でも成長ホルモンを増やしました。アルギニンは経口的に摂取しても注射とほぼ同等の成長ホルモン分泌促進効果を示しました。


Aアルギニンが子供の成長を促進するデータ(臨床試験データ)

●A. J. van Vughtらは、アルギニン(タンパク質中の)が子供の成長(身長の伸び)を促進することを示しました(Anneke Jah van Vught, Berit L Heitmann, Arie G Nieuwenhuizen, Margriet Ab Veldhorst, Lars Bo Andersen, Henriette Hasselstrom, Robert-Jan M Brummer, and Margriet S Westerterp-Plantenga. Association between intake of dietary protein and 3-year-change in body growth among normal and overweight 6-year-old boys and girls (CoSCIS). Public Health Nutr, 2009, Sep 17; 1-7)。

  タンパク質の摂取が子供の成長促進(身長の伸び)と関係していることが知られています。タンパク質の摂取量が少ないと成長の程度は低くなります。一方、タンパク質の量だけでなく質も成長に関係があることが示されています。タンパク質の質の違いはタンパク質を構成しているアミノ酸の構成比の違いに因ります。つまりタンパク質のアミノ酸の中で特定のアミノ酸が成長に関係している可能性があります。では、タンパク質のどのアミノ酸が子供の成長(身長)に関係しているでしょうか。

  A. J. van Vughtらは、タンパク質のどのアミノ酸が子供の成長(身長の伸び)に関係しているかを調べるために研究を行いました(本研究は、コペンハーゲン大学病院など5つのデンマークやスウェーデンの大学や研究機関の共同研究によって実施されました)。

  コペンハーゲン(デンマーク)の18の学校の6歳の子供がこの研究に協力しました。全部で203人の子供(男児94人、女児109人)のデータが集められました。試験期間は3年間でその間の身長の伸びとアルギニン(食物中の)の摂取量との関係が解析されました。

  その結果、アルギニンの摂取量が高い子供の身長は、低い摂取量の子供より身長の伸びが大きいことが明らかになりました。特に女児ではその結果は明らかでした。一方、男児の場合はその傾向が見られました。加えて、肥満女児ではアルギニンの摂取量が高いとき体脂肪量の減少が見られました。一方、タンパク質の摂取量と身長の伸びとの間には関係が見られませんでした。

【考察】
  子供の成長促進は主にタンパク質が関係しています。タンパク質の摂取量が少ないと成長の速度が遅くなります。しかし、タンパク質なら何でも良いのではなく、タンパク質の量とともにタンパク質の質が成長に影響を与えます(C. Hoppeら、 Am J Clin Nutr, 80, 447(2004)など)。タンパク質の質の違いは主にタンパク質を構成しているアミノ酸の構成比の違いにあります。

  タンパク質は、食物として摂取されたとき、消化管でほぼアミノ酸にまで分解された後体の中に吸収され、一部は再びタンパク質に再合成され、筋肉、皮膚、毛髪などのタンパク質となります。また、他の一部はアミノ酸として種々の生理作用に関係してきます。いくつかのアミノ酸の生理作用の一つに成長ホルモンの分泌促進作用があります。

  成長ホルモン(GH)は子供の成長(身長の伸び)を促進します。いくつかのアミノ酸は成長ホルモンの分泌促進作用を示しますが、そのうちアルギニンは最も強い作用を示すものの一つであることが知られています(Belloneら、J Pediatr Endocrinol Metab, 9, 523(1996); Bratusch-Marrainら、Acta Endocrinol, 90, 403(1979)など)。実際、アルギニンは成長ホルモンの分泌作用を試験するために医療用として使われています。

  これらのことから、アルギニン(タンパク質として、あるいはアミノ酸として)の摂取量が多いほど成長(身長の伸び)を促進することが期待されます。しかし、これまでアルギニンの摂取量と成長促進(身長の伸び)との関係を明らかにした研究はありませんでした。

  本文献はアルギニン(タンパク質中の)の摂取量が子供の成長(身長の伸び)に大きく影響していることを示しました。すなわち、(タンパク質中の)アルギニンの摂取量が多いほど子供の成長(身長の伸び)がより促進されることが示されました。一方、タンパク質の摂取量は子供の成長(身長の伸び)に関係していませんでしたので、本研究からは子供の成長(身長の伸び)に関係があるのはタンパク質の摂取量ではなく、アルギニンの摂取量であることが示されました。

  以上、まとめてみますと、タンパク質による子供の成長(身長の伸び)促進作用は主にアルギニンによると考えられました。アルギニンはその強力な成長ホルモン分泌促進作用により子供の成長(身長の伸び)を促進するものと考えられました


注:アルギニン(アミノ酸として)を子供の成長促進に使用することについて、以下のようなコメントを著者の一人Dr. van Vughtから頂きました。『
We believe that arginine is a strong GH stimulator which could influence linear growth and body composition. Maybe it could be helpful to add arginine as a foodsupplement』(日本語訳:私たちは、アルギニンが強力な成長ホルモン分泌促進作用を持ち、成長促進(身長を伸ばす)や体組成(脂肪など)に影響をおよぼすと考えています。アルギニンは栄養補助に有用であると考えます)。


●A. J. van Vughtらは、アルギニンが子供の身長の伸びを促進することを示しましたvan Vught AJ, Dagnelie PC, Arts IC, Froberg K, Andersen LB, El-Naaman B, Bugge A, Nielsen BM, Heitman BL. Dietary arginine and linear growth: the Copenhagen School Child Intervention Study. Br J Nutr.  2012 Oct 10; :1-9.)。

  A. J. van Vughtらは、以前の報告(上記文献)で、コペンハーゲンの18の学校の6歳の子供(203人)を対象に、アルギニン(食物中の)の摂取量と身長の伸びの関係を3年間追跡し、アルギニンの摂取量が高い子供の身長は、低い摂取量の子供より身長の伸びが大きいことを明らかにしました。

  本文献では、7歳から13歳までの6年間の追跡結果が示されました。その結果明らかにアルギニン(食物中の)は子供の身長の伸びを促進しました。

  試験は、コペンハーゲン近郊の一般の健康な児童を対象に行われました。平均7歳(6〜8歳)の686人の白人の児童(男児359人、女児327人)が試験に参加しました。試験終了時(6年後)の解析可能例数は261人でした。試験脱落例の原因は、他地への移動、試験への参加中断、データの欠落などでした。解析対象例261人(男児123人、女児138人)の試験開始時の平均年齢は7歳、試験終了時の平均年齢は13歳でした。アルギニンの摂取量は摂取した食事から算出されました。

  6年間の追跡試験の結果、7歳から13歳の健康な児童において、アルギニンの低摂取量児童(アルギニンの1日摂取量2.2g未満)に比べ、高摂取量児童(アルギニンの1日摂取量2.5〜3.2g)では明らかに(統計的に有意に)身長の伸びが高いことが示されました。このように、通常の健康な児童において、アルギニンの摂取量が少ない場合よりアルギニンの摂取量が多い方が身長の伸びが促進されることが明らかにされました。
  なお、今回の試験ではアルギニンの1日摂取量が3.2gより多い場合身長の伸びに対する効果は明らかでありませんでしたが、この理由については不明です。

【考察】
  成長ホルモンによって子供の身長は伸びます(成長ホルモン感受性の場合)。しかしながら、成長ホルモンは低身長症の子供のみが適応になり、低身長症でない子供がいわゆる単に背を伸ばしたいという希望で治療を受ける場合治療費は自己負担になります。その場合治療費は年間数百万円になると言われています。また、成長ホルモンは注射でしか効果を示さないので、毎日注射する負担は大変なものです。そのため、安価で経口的に摂取できる成長ホルモン代替物質あるいは成長ホルモン分泌促進物質が求められていました。そのようなものとして今最も有望なものの一つがアルギニンです。アルギニンは経口で成長ホルモンの分泌を促進します。しかしながら、これまでアルギニンが実際に子供の身長を伸ばすかどうか不明でした。

  本文献は、アルギニン(食物中の)の摂取量が少ない児童と多い児童を比較し、7歳から13歳(平均年齢)までを追跡調査しました。その結果、アルギニンの摂取量が少ない児童(1日2.2g未満)に比べ、アルギニンの摂取量が多い児童(1日2.5〜3.2g)では明らかに(統計的に有意に)身長の伸びが大きいことが分かりました。試験対象の児童は普通に成長している健康な児童で、特に低身長症の児童を対象にしたものではありませんでした。
  これらの結果から、アルギニンの摂取量を多くすることで、一般の児童でもより身長を伸ばすことができるということが分かりました。
  なお、今回の試験ではアルギニンの1日摂取量が3.2gより多い場合身長の伸びに対する効果は明らかでありませんでした。この理由については不明ですが、アルギニンを食物から摂っているためカロリー摂取過剰や他の食物成分の影響があるのかもしれません(例えば、高血糖や遊離脂肪酸の増加で成長ホルモンの分泌は低下します)。



Bアルギニンの身長増加作用のメカニズムが検討されました。その結果、アルギニンは成長ホルモンを増やし、骨の成長板の幅を増加させました。(Jiang MY, Cai DP. Oral arginine improves linear growth of long bones and the neuroendocrine mechanism. Neurosci Bull. 2011 Jun; 27(3): 156-62)

  アルギニンは成長期の子供の身長の伸びを促進することが報告されていますが(上記文献)、そのメカニズムが動物を使った試験で明らかにされました。

  成長期(青春期)のラットをアルギニン投与群とアルギニンを投与しない対照群に分けました。アルギニンは水に溶かし、1日に1kg当たり0.45gを経口的に28日間投与しました。対照群には生理食塩水を投与しました。検査項目は、脛骨の成長板の幅とミネラルの付着速度、柱骨量、大腿骨の骨芽細胞と破骨細胞面、血中の成長ホルモン濃度、視床下部の一酸化窒素合成酵素(nNOS)、可溶性グアニル酸シクラーゼ(サイクリックGMP合成酵素)、成長ホルモン放出ホルモン、ソマトスタチンの発現量、下垂体の成長ホルモンの発現量、視床下部の一酸化窒素合成酵素(nNOS)、可溶性グアニル酸シクラーゼ(サイクリックGMP合成酵素)のタンパクレベルなどでした。

  その結果、アルギニンを投与した群では、脛骨の成長板の幅、大腿骨の骨芽細胞面が増加しました。また、血中の成長ホルモン濃度が上昇しました。加えて、一酸化窒素合成酵素(nNOS)と可溶性グアニル酸シクラーゼ(サイクリックGMP合成酵素)(sGC
α1)のmRNAとタンパクレベルおよび成長ホルモンのmRNAの発現量が有意に上昇しました。一方、ソマトスタチンのmRNAの発現量は低下しました。

  これらの結果から、アルギニンは成長ホルモン分泌を促進することで、成長板(長骨の先端部分にあって骨が成長している部分)や骨芽細胞(新しい骨を形成)に働き、長骨(大腿骨、脛骨、上腕骨などの手足を構成する長い形状の骨)を伸ばして身長を伸ばすと考えられました。また、アルギニンによる成長ホルモン分泌促進作用は、アルギニンによるソマトスタチン(下垂体からの成長ホルモン分泌を抑制)の抑制によるものと考えられました。


【考察】
  本文献は、アルギニンの身長促進作用のメカニズムを検討したものです。動物での検討で、アルギニンによって分泌促進された成長ホルモンが長骨の成長板や骨芽細胞に働き長骨を伸ばすことで身長を伸ばす可能性が示されました。また、アルギニンによる成長ホルモン分泌促進作用は、成長ホルモンの分泌を抑制しているソマトスタチンの抑制によると考えられました。



【注目情報】

☆成長ホルモンを増やすにはアルギニンとオルニチンのどちらがよいか?


  オルニチンの働きの多くはオルニチンの一部が体の中でアルギニンに変化して生じると考えられるため(つまりアルギニンになって働く)、オルニチンの働きの強さはアルギニンより弱いか、アルギニンを上回ることは無いと考えられます(「オルニチンよりはるかにすごいアルギニン!」を参照下さい)。

  例えば、成長ホルモンの分泌を十分促進するためにはオルニチンを平均13g摂取する必要があると報告されています(但しオルニチンをこの量摂取すると多くの消化管の副作用が出ると報告されています)(Bucciら、Nutr. Res. 1990; 10: 239-245)。一方、アルギニンでは4g(子供)、あるいは5〜9g(大人)を摂取すると成長ホルモンの十分な分泌促進があると報告されています(このアルギニンの摂取量では消化管の副作用は特に報告されていません)(J. Endocrinol. Invest., 1993; 16: 521-525:J. Endocrinol. Invest., 1994; 17: 113-117:J. Lab. Clin. Med., 2000; 135: 231-237:Growth Horm. IGF Res., 2005; 15: 136-139)。このようにオルニチンの成長ホルモン分泌促進効果の強さは、アルギニンより弱いか、アルギニンを上回ることは無いと考えられます。

  アルギニンは成長ホルモンを分泌させるために病院でも使われています(この場合アルギニンだけが使われます)。それだけアルギニンの成長ホルモン分泌促進作用は確実であるということです。

  
このように、成長ホルモンを増やすにはアルギニンのほうがオルニチンよりより優れていると考えられます(アルギニンのほうがオルニチンより成長ホルモン分泌促進効果がより強く、また、より確実で、加えてアルギニンのほうがオルニチンより副作用が少ないと考えられます)。



4.お知らせ

【ホームページ責任者】

古賀 弘
Eメール:kogahrs555@nifty.com

健康コンサルタント
薬学博士
日本抗加齢医学会正会員

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【参考図書】

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