1.アンチエイジングとは

  アンチエイジング(抗加齢療法、抗老化療法)とは、加齢(年を取ること)によって起る変化(老化)の原因を抑制することによって、老化を予防したり、老化を改善することで、いつまでも若々しく病気にならない体をつくり、ひいては長命長寿を可能にすることをいいます。

  アンチエイジングの考え方は最近になって急速に話題になってきたものですが、その背景には、近年の医学的・科学的技術の進歩で老化の原因がある程度明らかにされてきたことと、それに対する対策法が開発されてきたことにあります。また、日本人の健康や美容に対する意識の高まりで、寝たきりにならず死ぬまで元気でいたいと考える人や、外見的にも若さを維持し、場合によっては若返りたいという人が増えてきたことも、アンチエイジングが注目されてきた理由と考えられます。それに加え、アンチエイジングは老化を抑制することで病人をつくらないことも目的ですので、医療費の抑制に結びつく可能性があるために行政的にも大変注目されています。

  アンチエイジングを専門的に研究・討論する学会として、「日本抗加齢医学会」があり、日本のアンチエイジング研究のトップクラスの先生方が顧問や会員に名を連ねています(「日本抗加齢医学会」ホームページ)。




 2.老化の原因

  近年の目覚しい医学や科学の進歩により、老化の原因もかなり解明されてきました。現在、老化の原因説としていくつか提唱されていますが、その中で特に注目されているものに遺伝子説、活性酸素説、糖化説、免疫低下説、ホルモン(体内調節物質)低下説などがあります。

1)遺伝子説
  老化は遺伝子のなかにプログラムされていて、各人の寿命はすでに生まれたときから決まっているとするものです。実際老化遺伝子というものが見つかっています。(これについては「アルギニン(NO)は、テロメラーゼおよび長寿遺伝子(サーチュイン)を活性化し、寿命を延ばし、老化および老化病を抑制し、若返りが期待できる超画期的成分です!!(レスベラトロールやTA−65よりすごい!?アルギニン)」などを参照ください)。

2)活性酸素説
  どんな工場でも何かを生産すれば必ず産業廃棄物が出ます。私たちの体の中でも同じで、糖、脂質、アミノ酸などを燃やしてエネルギーを得るときに酸素を必要としますが、そのとき産業廃棄物ともいえる活性酸素を生じます。通常、消費される酸素の2〜5%が活性酸素になるといわれています。活性酸素は非常に反応性が高く、自分のまわりにあるものを手当たり次第に攻撃してこれを破壊しますので悪玉酸素といわれています。活性酸素がタンパク質、脂質、糖質、遺伝子などを攻撃するとこれらは壊され、それらの働きが低下したり、別のものに変化します。それによって体の新陳代謝やエネルギー代謝が衰え老化が促進されると考えられています。活性酸素は現在、老化の大きな原因として大変注目されています。また、病気の90%以上は活性酸素が原因といわれています。
  一方、生活習慣の乱れ(食べ過ぎ、飲み過ぎ、喫煙、ストレスなど)、紫外線、放射線、発がん物質、食品添加物、残留農薬、激しい運動なども活性酸素の生成を促進しますので、これらも老化を促進するといわれています。

3)糖化説(クロスリンク説)
  糖(ブドウ糖など)の一部は反応性の高いアルデヒド型(悪玉糖)というもので存在します。アルデヒド型(悪玉糖)はタンパク質、脂質、遺伝子などと容易に反応し、糖化という現象を引き起こし糖化物(AGE)を生成します。タンパク質、脂質、遺伝子などは糖化されると、その働きが低下したり消失したりします。これらの糖化物はさらに変化を受けて他のタンパク質、脂質、遺伝子などと結合したり重合したりします(これをクロスリンキングといいます)。また、タンパク質が糖化されると、タンパク質の掃除屋であるタンパク分解酵素で分解されにくいため体のあちこちに蓄積するとともに活性酸素や体を傷害する物質などの生成を促進します。その結果老化が促進されるといわれています。これらのことからアルデヒド型の糖は悪玉糖といえます。
  糖化は私たちの体の中で通常の状態でも常に起っていますが(ブドウ糖などの糖化の原因となる糖が体の中に存在している限り)、特に糖尿病状態や甘いものや糖質のだらだら食いの時のように血糖値が高い状態では多く生成されるために、このような状態では老化が促進されると考えられています。実際、糖尿病患者では、老化、特に血管の老化が急速に進み、様々な老化病や血管病を合併します。例えば動脈硬化、腎症、網膜症、神経症、高血圧、白内障、ED、脂肪肝、壊疽、骨減少症、歯周病などが早期に出現し、若くして心疾患や脳卒中を引き起こします。糖尿病患者の平均寿命は67歳程度で、一般の人より10歳以上短命です。
  最近では、体内で生成されるAGEに加え、食べ物に含まれるAGEが問題視されるようになってきました。食べ物から摂っているAGEは、体内のAGEの3分の1にも相当するといわれているため、AGEの含量が少ない食べ物を摂るように心掛ける必要があります。つまり老化や老化病を予防したり改善するには血糖値の上昇を抑えるだけではなく、食べ物からのAGEの摂取に気を付ける必要があります。
(糖化と病気については、一般向けの本として例えば「早死にしない!老ける食べ方×若返る食べ方」(山岸昌一 著、長岡書店、2014年)をご参照ください)。

4)免疫低下説
  私たちの体は免疫によって守られています。免疫は侵入してくる細菌やウィルスと絶えず戦ってそれをやっつけ私たちの体を守ってくれます。また、がんは常に体の中でできているといわれていますが、免疫がガンが小さいうちに摘み取ってくれるために私たちはがんにならずにすんでいるといわれています。ところが年を取ってくると免疫が弱ってきますが、それが原因でがんになったり、体が弱り病気になったりして寿命に限界が生じるとする考え方です。

5)ホルモン(生体調節物質)低下説
  ホルモン(生体調節物質)は生命の維持、体のコントロール、繁殖などに欠かせないものですが、年を取ってくるとホルモン(生体調節物質)の多くが分泌(産生)低下を起こし、色んな老化現象の原因となります。例えば、成長ホルモンは10代の成長期をピークに急速に減少していきますが、これが脂肪太り、骨粗鬆症、肌の老化、精力減退、エネルギーレベルの低下、記憶力減退、免疫低下、心機能低下などの老化の大きな原因と考えられています。また、女性ホルモンは閉経を境に急激に減少しますが、これが原因で女性は閉経を境に、骨粗鬆症、動脈硬化、肌の老化、認知症など多くの老化現象に悩まされることになります。
  また、ホルモン類似成分として様々な生体調節物質が生体の機能をコントロールしていますが、これらも老化によって減少することが知られています。例えば一酸化窒素(NO)は、血管、血液、脳・神経、骨、消化管粘膜、消化管運動、肝臓、免疫系などの働きを調節していますが、老化や老化を促進する生活習慣の乱れなどによってその産生量や働きが低下し、老化や老化病(生活習慣病を含む)、例えば動脈硬化、虚血性疾患(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症など)、糖尿病合併症、心不全などの心血管病、記憶力低下や認知症、骨粗鬆症、消化性潰瘍、便秘、肝障害、免疫低下などの原因になっているのではないかと考えられています。


 3.アンチエイジングの実際

  アンチエイジングの現在の実際的な方法は、老化は、若いときには私たちの体の中で十分働いていた、あるいは十分あったものが、年を取ると働かなくなった、あるいは少なくなったことによって起るという考え方を基本にして、これを予防改善するためにライフスタイル(生活習慣)を改善したり、不足する生体成分を補充したり、安全性の高い自然成分を使って衰えた体の働きを回復させたりすることによって行われます。
  具体的には、活性酸素説に対しては、若いときは活性酸素を消去する(無毒にする)抗酸化酵素(スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなど)などが体の中に十分あるために活性酸素の害はほとんどないが、年を取るとこれらの抗酸化酵素などが少なくなるために活性酸素の害が現れるようになり、老化が進むと考え、活性酸素を増加させる生活習慣(喫煙、ストレス、飲み過ぎ、紫外線、環境有害物質の摂取など)を改善したり、抗酸化剤を補充します。
  糖化説についても、若いときはできた糖化物を十分処理できるが年を取ると処理できなくなりこれが蓄積して老化が進むと考え、糖化を促進する生活習慣(食べ過ぎ、だらだら食い、運動不足、清涼飲料水の飲み過ぎなど)の改善や、AGEを多く含む食べ物の摂取を控えることや、糖化抑制剤を摂取します。
  免疫低下説については、若いときは免疫が強いが年を取ると弱くなり、カゼを引きやすくなったり、肺炎になりやすくなったり、がんになりやすくなったり、老化が進んだりすると考え、免疫を低下させる生活習慣(ストレス、喫煙、運動不足、睡眠不足、バランスの悪い食事、大量のアルコール摂取など)の改善や免疫強化剤を摂取します。
  ホルモン(生体調節物質)低下説では、若いときは十分量のホルモン(生体調節物質)が分泌(産生)されるが年を取るとホルモン(生体調節物質)が足りなくなって老化が進むと考え、足りなくなったホルモン(生体調節物質)を補充します。実際、成長ホルモンや性ホルモンなどは年を取ると急激に分泌が低下しますが、このようなとき成長ホルモンや性ホルモンを補充すると老化が止まったり、場合によっては若返りが可能となります。
  しかし、実際には、老化は単独の原因で起こることはなく上記のような色んな原因が複合的に作用した結果と考えられているため、実際のアンチエイジングはいくつかの方法の組み合わせで行われます。
  一方、老化はすでに生まれたときから遺伝子にプログラムされていて、一定期間が経過するとそれが働いて老化が進んでいくとも考えられますが、現在の医療技術では遺伝子を変える遺伝子治療に対してはまだ研究段階にあるため、これを人に応用するまでにはまだ長い年月が必要となります。
しかし、老化や若返りに関係する遺伝子の制御については、近年種々進歩が見られてきていますこれについてはアルギニン(NO)は、テロメラーゼおよび長寿遺伝子(サーチュイン)を活性化し、寿命を延ばし、老化および老化病を抑制し、若返りが期待できる超画期的成分です!!(レスベラトロールやTA−65よりすごい!?アルギニン)」などを参照ください。


 4.アンチエイジングの実際5ステップ

  日本でのアンチエイジングの中心的な学会である「日本抗加齢医学会」では、アンチエイジング(抗加齢療法)の実際として5つのステップを示しました。(より詳しくは「日本抗加齢医学会」のホームページをご覧下さい)。
  但し、ここでは学会の指針は参考にしましたが、内容は私の個人的考えで書かせて頂きました。文責は全て私(古賀)にあります。

  アンチエイジングは基本的に健康なときから始めますので、もっと若返りたい、長生きしたいという本人の強い決意と、それを実行するための実行力が最も重要となります。そのため、ここでは準備期間として0ステップを別途設けました。

  アンチエイジングの実際は以下のステップにわけて行います。

0)第0ステップは心の準備段階です
  ”120歳、または少なくとも100歳までは元気に生きる”という確固たる決意をし、これを自分自身に納得させ、そして信じることです。
  よく昔から、何かを成し遂げようとしたら、その成功を信じなさい、成功した自分を想像しなさいといいますが、アンチエイジングにおいても、自分は絶対に120歳まで生きるぞという信念と、120歳まで生きた自分を想像することが、アンチエイジングを成功させるのにどうしても欠かせないものとなります。
  
1) 第1ステップは知識増大のステップです
  アンチエイジングの知識を身につけます。本を読んだり、インターネットで調べたり、講演会を聞いたりしてアンチエイジングの勉強をします。
  ここまで読み進まれてきた皆さんはすでにアンチエイジングについてかなり知識を得られたことと思いますが、もっと勉強したい方には次の本を読まれることをお薦めします(一般向けです)。

・『100歳まで生きる!「不老!」の方法』(坪田一男著、宝島社、1,500円)
・ 「10週間であなたは若返る」(ロナルド・クラッツ原著、松山 淳・保志名 勝共訳、石束嘉男監訳、コスモス、1,800円)

2) 第2ステップはライフスタイル(生活習慣)改造ステップです
  日常生活で行えることから始めます。

●水をよく飲みましょう
  水は生命の基本です。私たちの体の実に60%は水分です。水分が足りないと血液はドロドロに濃縮され血栓ができて脳や肺に詰まってしまいます。少し前に話題になった「エコノミー症候群」も原因は水分の摂取不足です。席に座りっきりで水分もあまり取らないでいると、血液は濃くなってドロドロになり足の方に血栓ができやすくなります。この血栓が頭や肺に詰まって最悪の場合突然死するものです。オフィスでじーっと座って仕事をしているときにも似たような状態が起きるそうです。現代人は全体的に水不足といわれています。「必要な水分の摂取量の目安は最低で体重の30分の1(体重60kgの人では1日に2リットル)」とされています。水としてはミネラルウォーター(や麦茶)が良いそうです。

●睡眠を十分とりましょう
  100歳以上生きている人たちの平均睡眠時間は女性7時間、男性7.5時間だそうです。睡眠にはメラトニンというホルモンが深く関わっているといわれています。メラトニンは若返りホルモンとしても有名です。睡眠障害や年を取ってくるとメラトニンが少なくなってくるといわれています。逆に良く眠る人はメラトニンがしっかりでているとも言えます。「長生きのための睡眠時間は最低7時間」です。

●運動をしましょう
  アンチエイジングには運動は絶対必要です。運動は体脂肪を燃やして適正体重を保ちます。また、成長ホルモンを出させ、ストレスを減らし、心肺機能を高め、筋肉をつけ、骨密度を高め、免疫機能を高めます。メンタルヘルスや生活の質の改善にも効果があることが認められています。よく運動している人は、死亡率が低かったり、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、結腸がんなどの生活習慣病や老化病になりにくくなります。一方、運動不足の人は、死亡率が高くなったり、これらの病気になる危険度が高くなります。運動を続けることで10歳は若返るという人もいます。
  しかし、激しい運動は逆効果です。激しい運動を続けた場合寿命は延びず、むしろ縮むようです。これは激しい運動で酸素の消費量が多くなり、それに伴って活性酸素の発生量が多くなるためと考えられています。
  運動の目標は、1日1万歩の歩行、あるいは1回30分以上の運動を毎週2回以上です。運動の強さは自分の最大心拍数(220から自分の年齢を引いた数)の60〜70%が適切です(最も脂肪の燃焼率が高いといわれる数字)。80%以上になると危険ですので気をつけましょう。

●禁煙しましょう
  喫煙はアンチエイジングの大敵です。喫煙によって血管が収縮し活性酸素の発生が促進されます。また、血液の粘度が高くなり、血栓ができやすくなります。たばこの煙には多数の発がん性物質が含まれています。このように喫煙は、がん、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)、脳血管疾患(脳卒中など)、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫、喘息)、消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)、歯周病などの病気になる危険度を高めます。喫煙者は非喫煙者に比べがんによる死亡の危険度は1.5倍高くなります。特に肺がん、喉頭がん、口腔・咽頭がん、食道がんによる死亡の危険度が10倍以上も高くなるという調査結果があります。循環器疾患による死亡、あるいは気管支喘息、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、歯周病などになる危険度は1.5〜3.4倍高くなります。一方、禁煙(男性)によって、肺がんによる死亡の危険度は3分の1に、虚血性心疾患による死亡の危険度は半分に減少(喫煙者を1として禁煙後10年以上経過したとき)するとされています。喫煙は百害あって一利なしといわれます。

●食事に注意を払う
  食事(栄養)はアンチエイジングにとって大変重要です。食べ過ぎれば肥満になり、糖尿病、高血圧症、高脂血症、高尿酸血症、動脈硬化症、脂肪肝、変形性膝関節症、睡眠時無呼吸症候群などの老化や老化病(生活習慣病を含む)になりやすくなります。脂肪のとりすぎは、高脂血症、虚血性心疾患、脳卒中、乳がん、大腸がんなどの病気の原因となります。食塩の過剰摂取は高血圧の一因となり、また、胃がんのリスクを高めます。一方、カリウムには利尿作用があり、血圧を低下させます。カルシウムの摂取不足は骨粗鬆症を招きますが、十分な摂取はそれを予防します。食物繊維はがんを予防し、高脂血症を改善します。抗酸化ビタミンのビタミンCは心血管病やがんのリスクを下げる(死亡率を下げる)ことが示されています。また、ビタミンCはビタミンEの抗酸化作用を増強します。ビタミンEは私たちの体を活性酸素の害から守り、動脈硬化や虚血性心疾患などの循環器疾患を予防すると考えられています。
  近年、日本食が長寿食として世界的に注目されています。日本人は世界最高水準の平均寿命(女性86.83歳、男性80.50歳)と健康寿命(健康で生活できる期間)(女性74.21歳、男性71.19歳)を達成しましたが、その理由として日本食、特に大豆製品に注目が集まっています。
  ここに面白いデータがあります。ラットやマウスで食餌制限(食事の量、あるいはカロリーを通常の5〜8割程度に減らす)によって寿命が最大40%も延びたとのことです。昔からよく一生に食べる食べ物の量は決まっているといいますが、それが実験でも証明されたということになります。食餌制限によって、様々な老化変化、例えば免疫力の低下、学習能力の低下、繁殖力低下、肝機能低下、脂肪分解能低下、活性酸素に対する抵抗力の低下、タンパク糖化の増加などが抑えられることが明らかにされています。これにより病気に対する抵抗力が増し寿命が延びたのではないかと考えられます。これと同じような結果がサルでも明らかにされつつあります。多くの研究によれば、食餌制限による寿命延長は動物一般に見られる普遍的現象のようです。
  寿命が40%延びるということは、人間に換算すると、今日本人の平均寿命は女性86.83歳、男性80.50歳ですので、食餌制限によってそれらの40%増しの女性121.56歳、男性112.70歳まで平均寿命が延びるということになります。つまり、日本人全員が現在の食事の量(特にカロリー)を2〜5割減らすと(当然必須栄養素は確保するのが前提です)、平均寿命は113〜122歳位まで延びるということになり、32〜35歳位長生きできます。

●お酒はほどほどに
  適量のアルコールは血中のHDL(善玉コレステロール)を上昇させ、血管の老化(動脈硬化)を防ぎ心疾患を予防します。一方、過量のアルコールは、血中の中性脂肪を増やし、循環器疾患(不整脈、心肥大、脳出血)のリスクを高めます。また、アルコール性肝障害(脂肪肝、肝炎、肝硬変)、アルコール精神病(うつ病など)、アルコール依存症の原因になるだけでなく、がんのリスクを高めます。アルコールは肝臓で代謝される際に活性酸素を出しますので肝障害や肝臓の老化を促進します。
  アルコールの適量は1日に、日本酒1合、またはビール500ml(中瓶)、またはワインをグラス2杯(240ml)、またはウィスキー・ブランデーをダブル1杯(60ml)、または焼酎(35度)を1杯(70ml))程度です。

3) 第3ステップはサプリメントステップです
  サプリメントの役割は、基本的には食事で足りないものを補うことです。そのようなものとして、ビタミン類、ミネラル、ある種のアミノ酸などがあります。また、積極的に健康を維持したり老化を予防するために特定の天然成分を摂ることもあります。
  アンチエイジングのためのサプリメント療法の中心は、老化の原因に対する療法です。

(1)抗酸化療法・・・活性酸素を消去するため天然の抗酸化剤を使います。代表的なものとしてビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、アスタキサンチンなどがあります。

(2)糖化抑制療法・・・糖化を防ぐ物質を使います。アルギニンなどが糖化を強力に防ぎます。

(3)免疫強化療法・・・天然成分で免疫を強化することが知られている多くのものがあります。代表的なものとして、キノコ類(霊芝、マイタケ、アガリスク、メシマコブ、シイタケ、冬虫夏草など)、キトサン、アルギニンなどがあり、これらの中から飲みやすさや値段など自分にあったものを選んで摂取します。

(4)ホルモン補充療法・・・ホルモンは通常医薬品のため、ホルモンそのものを摂取するのではなく、その代替として、ホルモン様作用、ホルモン分泌促進作用、ホルモン生成促進作用などを示す天然成分を使います。
  例えば、アルギニンは血管や骨に対して、女性ホルモンと同じようなメカニズムで働き、その老化(動脈硬化や骨粗鬆症)を防ぐことが示されています〔但し、アルギニンは女性ホルモン作用は持っていませんので女性器(子宮、卵巣、乳房など)には影響しません〕。
  アルギニンは若返りホルモンである成長ホルモンの分泌を促進します。そのため、成長ホルモンの代わりに摂取します。
  抗老化ホルモンのメラトニンについて海外では健康食品の店で自由に買うことができますが、日本では医薬品指定です。しかし、メラトニンが含まれているという天然物質もあるようです(例えば冬虫夏草)。
  海外ではDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)が抗老化ホルモンとして注目されています。DHEAは性ホルモンやステロイドの中間物質で体内でこれらの物質に変換されます。海外では健康食品の店で自由に買うことができますが、日本では医薬品指定です。
  抗老化に関わる体内調整物質として一酸化窒素(NO)がありますが、これはアルギニンを摂取することで産生を増やすことができます。  
  
4) 第4ステップはアンチエイジングの専門医の指導を受けながら行う入門コースです
  先ず、加齢ドックのようなところで、自分の加齢度(老化度)をチェックしてもらいます。検査項目は多岐にわたっており、体重、身長、BMI、脂肪率、循環器関係、腎臓検査、肝臓検査、甲状腺機能検査、がん関連、耐糖能検査、各種ホルモン検査(成長ホルモン、男性ホルモン、女性ホルモン、DHEAなど)、その他(血中ビタミン濃度、動脈硬化度、重金属汚染検査、抗酸化活性(または酸化度)、ミネラル濃度、骨密度など)などです。これによって自分の老化度を把握しておきます。
  そのうえで医学的な立場からサプリメントを十分量摂り、インジェクション(注射)以外のホルモン補充療法を取り入れます。

5) 第5ステップはHGH(成長ホルモン)のインジェクション(注射)も含めた専門コースです
  抗加齢医学専門医のもとで現在可能な老化遅延の方法を実践します。第4ステップまででアンチエイジング(抗加齢療法、抗老化療法)が不十分と考えられた場合は、成長ホルモンや性ホルモンなど医薬品の投与も行います。


 5.アンチエイジングで40歳長生きする(120歳まで生きる)

1)ライフスタイルの改善で20〜30歳長生きする

(1)すぐできること

 ●1日2リットルの水を飲む
   水はミネラルウォーターがおすすめ。

 ●睡眠時間は最低7時間

 ●運動をする
   1日1万歩の歩行、あるいは1回30分以上の運動を毎週2回以上。

 ●食事を見直す
   日本の食文化を見直そう。和食中心に変える。肉食を少なくし、魚や大豆製品を食べる。白米を玄米や麦に。

 ●お酒は適量に
   お酒の量は1日に、日本酒1合、またはビール500ml(中瓶)、またはワインをグラス2杯(240ml)、またはウィスキー・ブランデーをダブル1杯(60ml)、または焼酎(35度)を1杯(70ml))程度にする。その倍程度(アルコールとして50g)まではたまには良い。

(2)すぐできないかもしれないこと

 ●禁煙する
   禁煙はなかなか難しい。場合によってはニコチンパッチなどの助けを借りる。

 ●食事のカロリーを減らす
   カロリーを2〜3割程度減らすことで2割程度の寿命延長が期待できます。4〜5割程度のカロリー制限で最大4割程度です。いま、日本人の平均摂取カロリーは1日約2,000kcalですので、2割減で約1,600kcal、4割減で約1,200kcalになります。ちなみに1,600kcalは糖尿病食程度のカロリーです。1,200kcalは、日本人の基礎代謝量の1,100〜1,400kcalの範囲にあるため、1日中安静にしておいても私たちの体はこのぐらいのカロリーは消費します。しかもこのカロリー制限を一生続けなければならないのです。
   このように、カロリー制限はライフスタイル改善の中でも最も寿命の延長が期待できるにも関わらず、最も実行しにくいものとなります。そのため、現在、カロリー制限と同じ効果が他の方法でできないかの研究が進められています。その一つとして、カロリー制限と同様な効果、例えば活性酸素に対する抵抗力の増大、免疫力の増大、(タンパク)糖化の抑制などのために、抗酸化作用、免疫強化作用、糖化抑制作用などを持つサプリメントを摂取することがあげられます。また、脂肪や炭水化物の吸収を抑えるために食物繊維などの摂取も効果的だと考えられます。
   一方、カロリー制限による健康効果についてそのメカニズムの研究が進められた結果、それによる寿命延長や老化抑制には様々な因子が関与していることが明らかにされてきました。その中で主要な因子としてサーチュインが知られています。サーチュインはサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子とも呼ばれています)の活性化により合成されるタンパク質で、色々なメディアでも広く取り上げられるようになったため、一般の人々にも広く知られる存在になってきました。そのため、サーチュインを活性化する物質が老化を抑制し長寿をもたらすのではないかと熱い期待が寄せられています。現在、いくつかの物質が候補に上げられていますが、アルギニン(NO)はその中でも最も有望な成分の一つとして注目されています(これについては「アルギニン(NO)は、テロメラーゼおよび長寿遺伝子(サーチュイン)を活性化し、寿命を延ばし、老化および老化病を抑制し、若返りが期待できる超画期的成分です!!(レスベラトロールやTA−65よりすごい!?アルギニン)」などを参照ください)。


2)アンチエイジングサプリメントで10〜40歳長生きする

(1)どういうサプリメントを使うか
  老化によって不足する若返りアミノ酸『
アルギニン』〔アルギニンは糖化抑制、抗酸化、免疫強化、成長ホルモン分泌、一酸化窒素生成、サーチュインの活性化、テロメラーゼの活性化(テロメアを長くする)などのスーパーマルチな働きを示し老化を防ぐため超アミノ酸またはスーパーアミノ酸と呼ばれていますが、最近はそれ以上の働きを示すとしてミラクルアミノ酸と名付けられました(「ミラクルアミノ酸『アルギニン』の驚異的な働き(まとめ)−アンチエイジングから老化病・生活習慣病の予防・改善まで−」を参照ください)〕を積極的に摂取して老化を防ぎます。さらにこれにアルギニンの働きを助け、抗酸化活性を高めるビタミンCとビタミンEを併用します。必要ならば、これらに他の抗酸化剤(コエンザイムQ10、アスタキサンチンなど)、免疫強化剤(キノコ類、キトサンなど)を組み合わせて摂取します。これに加え、カロリー摂取過剰を抑えるために食物繊維(難消化性デキストリンなど)などを適宜摂取します。
これで10〜40歳の長生きを目指します。

(2)メニュー
●基本メニュー(1)(1日摂取量)

   アルギニン
                        1g※※
   
●基本メニュー(2)(1日摂取量)

   アルギニン
                        1g※※
   ビタミンC                         100mg
   ビタミンE                         100mg以下(過剰摂取は健康に逆効果ですのでお避け下さい)

●応用メニュー(1日摂取量)

   アルギニン
                        1g※※
   ビタミンC                         100mg
   ビタミンE                         100mg以下(過剰摂取は健康に逆効果ですのでお避け下さい)
   コエンザイムQ10                    30mg
   免疫強化剤(キノコ類、キトサンなど)        適宜
   食物繊維(難消化性デキストリンなど)        適宜
   

アルギニンを摂取する場合の注意点
  これについては『アルギニンサプリメントの正しい選び方』をご覧ください。


:アルギニンを実際に摂取するに際して、アルギニンには種々の重大な問題点があるためご注意ください。アルギニンの重大な問題点を克服したアルギニンサプリメントの摂取をおすすめします。(これについては「アルギニンの欠点を克服し、超強力・超持続を目指した進化型スーパーアルギニンサプリメント」の開発の試み=長寿、健康長寿、若返り、老化・老抑制も夢ではない、究極のスーパーアンチエイジングサプリの創製を目指して=[詳細]または[概要編]をご参照ください)。
※※アンチエイジングのために進化型「スーパーアルギニンサプリメント」を摂取した場合のアルギニンのおすすめする1日量

(3)アンチエイジングサプリメント(アルギニンサプリメント)の効果
  仕事の頑張りがきき疲れにくくなった、息切れしなくなった、カゼを引かなくなり引いても軽くてすむようになった、体力がついてきた、精力が充実してきた、白髪が少なくなってきた、抜け毛が少なくなってきた、酒に強くなってきた、肌に潤いがでてきた、しわが目立たなくなった、しみが薄くなった、痩せた、老眼が無くなったなどのアンチエイジング効果に加え、血圧が下がった、血糖値が下がった、高脂血症が改善した、メタボリックシンドロームが改善した、動脈硬化が改善した、心血管病(狭心症、閉塞性動脈硬化症など)が改善した、心不全が改善した、EDが改善した、認知症が改善した、骨粗鬆症が改善した、肝機能が改善したなどの老化病(や生活習慣病)の予防・改善効果が見られます。





6.お知らせ

【ホームページ責任者】


古賀 弘
Eメール:kogahrs555@nifty.com

健康コンサルタント
薬学博士
日本抗加齢医学会正会員

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【参考図書】

「アルギニン」についてもっとお知りになりたい方には次の本(拙著)をお薦めします。本書は本邦最初で唯一の一般向けアルギニン参考書です。 本書のご購入ご希望の方はインターネット書店(Amazon.co.jpまたは紀伊国屋書店)または全国の書店でお買い求め下さい。


超アミノ酸健康革命−21世紀のサプリメント「アルギニン」のすべて』(古賀 弘著、今日の話題社、1,575円(税込))


 リンク集

 日本抗加齢医学会
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 ためしてガッテン
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【目次】

1.アンチエイジングとは

2.老化の原因

3.アンチエイジングの実際

4.アンチエイジングの実際5ステップ

5.アンチエイジングで40歳長生きする(120歳まで生きる)

6.お知らせ(ホームページ責任者、参考図書)


【お問合せ先】
本ページおよびアルギニンに関するお問い合わせは
本ページ責任者古賀までお願いします(
Eメール:kogahrs555@nifty.com
アンチエイジングの実際
=現代の不老長寿法=