アルギニンは子供の身長を伸ばします


@A. J. van Vughtらは、アルギニンが子供の身長の伸びを促進することを示しましたvan Vught AJ, Dagnelie PC, Arts IC, Froberg K, Andersen LB, El-Naaman B, Bugge A, Nielsen BM, Heitman BL. Dietary arginine and linear growth: the Copenhagen School Child Intervention Study. Br J Nutr.  2012 Oct 10; :1-9.)。

  A. J. van Vughtらは、以前の報告で、コペンハーゲンの18の学校の6歳の子供(203人)を対象に、アルギニン(食物中の)の摂取量と身長の伸びの関係を3年間追跡し、アルギニンの摂取量が高い子供の身長は、低い摂取量の子供より身長の伸びが大きいことを明らかにしました(「アルギニンは子供の成長を促進します!」を参照下さい)。

  本文献では、7歳から13歳までの6年間の追跡結果が示されました。その結果明らかにアルギニン(食物中の)は子供の身長の伸びを促進しました。

  試験は、コペンハーゲン近郊の一般の健康な児童を対象に行われました。平均7歳(6〜8歳)の686人の白人の児童(男児359人、女児327人)が試験に参加しました。試験終了時(6年後)の解析可能例数は261人でした。試験脱落例の原因は、他地への移動、試験への参加中断、データの欠落などでした。解析対象例261人(男児123人、女児138人)の試験開始時の平均年齢は7歳、試験終了時の平均年齢は13歳でした。アルギニンの摂取量は摂取した食事から算出されました。

  6年間の追跡試験の結果、7歳から13歳の健康な児童において、アルギニンの低摂取量児童(アルギニンの1日摂取量2.2g未満)に比べ、高摂取量児童(アルギニンの1日摂取量2.5〜3.2g)では明らかに(統計的に有意に)身長の伸びが高いことが示されました。このように、通常の健康な児童において、アルギニンの摂取量が少ない場合よりアルギニンの摂取量が多い方が身長の伸びが促進されることが明らかにされました。
  なお、今回の試験ではアルギニンの1日摂取量が3.2gより多い場合身長の伸びに対する効果は明らかでありませんでしたが、この理由については不明です。


Aアルギニンの身長増加作用のメカニズムが検討されました。その結果、アルギニンは成長ホルモンを増やし、骨の成長板の幅を増加させました。(Jiang MY, Cai DP. Oral arginine improves linear growth of long bones and the neuroendocrine mechanism. Neurosci Bull. 2011 Jun; 27(3): 156-62)

  アルギニンは成長期の子供の身長の伸びを促進することが報告されていますが(上記@の文献並びに「アルギニンは子供の成長を促進します!」を参照下さい)、そのメカニズムが動物を使った試験で明らかにされました。

  成長期(青春期)のラットをアルギニン投与群とアルギニンを投与しない対照群に分けました。アルギニンは水に溶かし、1日に1kg当たり0.45gを経口的に28日間投与しました。対照群には生理食塩水を投与しました。検査項目は、脛骨の成長板の幅とミネラルの付着速度、柱骨量、大腿骨の骨芽細胞と破骨細胞面、血中の成長ホルモン濃度、視床下部の一酸化窒素合成酵素(nNOS)、可溶性グアニル酸シクラーゼ(サイクリックGMP合成酵素)、成長ホルモン放出ホルモン、ソマトスタチンの発現量、下垂体の成長ホルモンの発現量、視床下部の一酸化窒素合成酵素(nNOS)、可溶性グアニル酸シクラーゼ(サイクリックGMP合成酵素)のタンパクレベルなどでした。

  その結果、アルギニンを投与した群では、脛骨の成長板の幅、大腿骨の骨芽細胞面が増加しました。また、血中の成長ホルモン濃度が上昇しました。加えて、一酸化窒素合成酵素(nNOS)と可溶性グアニル酸シクラーゼ(サイクリックGMP合成酵素)(sGC
α1)のmRNAとタンパクレベルおよび成長ホルモンのmRNAの発現量が有意に上昇しました。一方、ソマトスタチンのmRNAの発現量は低下しました。

  これらの結果から、アルギニンは成長ホルモン分泌を促進することで、成長板(長骨の先端部分にあって骨が成長している部分)や骨芽細胞(新しい骨を形成)に働き、長骨(大腿骨、脛骨、上腕骨などの手足を構成する長い形状の骨)を伸ばして身長を伸ばすと考えられました。また、アルギニンによる成長ホルモン分泌促進作用は、アルギニンによるソマトスタチン(下垂体からの成長ホルモン分泌を抑制)の抑制によるものと考えられました。


【考察】
  成長ホルモンによって子供の身長は伸びます(成長ホルモン感受性の場合)。しかしながら、成長ホルモンは低身長症の子供のみが適応になり、低身長症でない子供がいわゆる単に背を伸ばしたいという希望で治療を受ける場合治療費は自己負担になります。その場合治療費は年間数百万円になると言われています。また、成長ホルモンは注射でしか効果を示さないので、毎日注射する負担は大変なものです。そのため、安価で経口的に摂取できる成長ホルモン代替物質あるいは成長ホルモン分泌促進物質が求められていました。そのようなものとして今最も有望なものの一つがアルギニンです。アルギニンは経口で成長ホルモンの分泌を促進します(詳しくは「
アルギニンは成長ホルモンを強力に増やします!」を参照下さい)。しかしながら、これまでアルギニンが実際に子供の身長を伸ばすかどうか不明でした。

  上記文献@は、アルギニン(食物中の)の摂取量が少ない児童と多い児童を比較し、7歳から13歳(平均年齢)までを追跡調査しました。その結果、アルギニンの摂取量が少ない児童(1日2.2g未満)に比べ、アルギニンの摂取量が多い児童(1日2.5〜3.2g)では明らかに(統計的に有意に)身長の伸びが大きいことが分かりました。試験対象の児童は普通に成長している健康な児童で、特に低身長症の児童を対象にしたものではありませんでした。
  これらの結果から、アルギニンの摂取量を多くすることで、一般の児童でもより身長を伸ばすことができるということが分かりました。
  なお、今回の試験ではアルギニンの1日摂取量が3.2gより多い場合身長の伸びに対する効果は明らかでありませんでした。この理由については不明ですが、アルギニンを食物から摂っているためカロリー摂取過剰や他の食物成分の影響があるのかもしれません(例えば、糖質や脂肪の摂りすぎによる高血糖や遊離脂肪酸の増加で成長ホルモンの分泌は低下します)。

  上記文献Aは、アルギニンの身長促進作用のメカニズムを検討したものです。動物での検討で、アルギニンによって分泌促進された成長ホルモンが長骨の成長板や骨芽細胞に働き長骨を伸ばすことで身長を伸ばす可能性が示されました。また、アルギニンによる成長ホルモン分泌促進作用は、成長ホルモンの分泌を抑制しているソマトスタチンの抑制によると考えられました。

  このようにアルギニンは、健康な通常の成長をしている子供で身長の伸びを促進することが明らかになりました。この結果は数百名の児童が参加した6年間の試験で明らかにされました。またアルギニンによって分泌促進された成長ホルモンが、外部から注射によって投与された成長ホルモンと同様に、成長板に働き骨を伸ばすことで身長を伸ばすことが考えられました。すなわち、アルギニンの身長促進作用は医学的にも(医学的事実として)、科学的にも(メカニズム的にも)明らかにされました。

  以上の知見から、通常の健康な子供(成長ホルモン感受性の場合)が身長を伸ばしたいときどうすればよいでしょうか。以下のような方法がすすめられます。
@アルギニンを多く含んだ食事を摂る。但し、糖質や脂肪の摂りすぎは成長ホルモンの分泌を妨げるので糖質や脂肪を摂り過ぎないようにしてください。
A運動、睡眠などは成長ホルモンの分泌を増加させますので、運動を十分にし、睡眠を十分にとることが重要です。
Bこれを少なくとも成長期の間継続する。

  以上の生活を成長期の間続けることで、これらの生活をしてない子供に比べ結果的に身長が5cmあるいはそれ以上異なってくる可能性があります。

  一方、低身長症あるいはそれに近い児童の場合、低身長の原因としていろんなことが考えられますので、先ず小児科医にご相談下さい。


ご注意:アルギニン(アミノ酸として)は吸収が良く必要な量を手軽にとれるため、そして糖質や脂肪の摂りすぎの心配がないため使用したい成分ですが、子供の成長(身長の伸び)促進のための栄養補助として使用するときは、栄養士や小児科医にご相談されることをおすすめします。



●アルギニンを摂取する場合の注意点
  これについては『アルギニンの安全で効果的な飲み方』、および『アルギニンサプリメントの正しい選び方』をご覧ください。






【お問合せ先】
本ページおよびアルギニンに関するお問い合わせは本ページ責任者古賀までお願いします(Eメール:kogahrs555@nifty.com


上記以外のアルギニンの働きについてお知りになりたい方は
アルギニンで若返る!』をご覧ください。