アルギニンが血圧を低下させるという文献は数多くありますが、臨床試験における患者数が少ない、データの信頼性に問題があるなどの理由により、確実性を判断するには問題がありました。本文献では、過去の信頼できる文献を精査し、これらのデータを用いてメタ解析を行った結果、アルギニンの血圧低下作用はより確実であることが明らかになりました。
(文献:J Y Dong, L Q Qin, Z Zhang, Y Zhao, J Wang, F Arigoni, W Zhang. Effect of oral L-arginine supplementation on blood pressure: A meta-analysis of randomized, double-blind, placebo-controlled trials. Am Heart J 2011 Dec; 162(6):959-65)。
【試験の背景および目的】
これまでの臨床研究でアルギニンが血圧低下作用を有するのではないかということが報告されています。しかしながら、研究の対象となる患者数が少なかったために統計的な有意性を判断するには問題がありました。そこで著者らは過去の信頼できる文献を精査し、これをまとめてメタ解析※することで、アルギニンの血圧低下作用が確実性を持つかどうかを検討しました。
※メタ解析:過去にそれぞれ独立して行われた複数の臨床研究のデータを収集・統合し、統計的方法を用いて解析した系統的総説です。採用するデータは、信頼できるものにしぼり、それぞれに重み付けを行います。一般的には、様々な試験の要約統計量を用いますが、生データを結合して解析する場合もあります。叙述的な総説とは異なり、体系的、組織的、統計学的、定量的に研究結果をレビューするという特徴があります。メタ解析は、複数の研究で得られた効果が一致しない場合、個々の研究の標本サイズが小さく有意な効果を見いだせない場合、大きな標本サイズの研究が経済的・時間的に困難な場合、に有用であるとされています。
【方法】
データベース(PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Clinical Trials
gov database)を調査し、アルギニンの経口投与による人における血圧への効果をランダム化二重盲検プラセボ対照試験(医薬品やサプリメントなどの効果を調べるための最も信頼性の高い試験)で行った文献を集めて精査しました。
【結果】
アルギニンの経口投与による人における血圧への効果をランダム化二重盲検プラセボ対照試験で行った11の試験を解析に用いました。対照患者数は387人で、アルギニンの摂取量は1日4〜24gでした。解析の結果、プラセボ(効果が無い偽薬)に比べアルギニンは統計的に明らかに血圧(収縮期血圧と拡張期血圧の両方)を低下させました。
このように、アルギニンは、メタ解析の結果、経口投与によって、血圧をより確実に低下させることが明らかになりました。
●アルギニンを摂取する場合の注意点
これについては『アルギニンの安全で効果的な飲み方』、および『アルギニンサプリメントの正しい選び方』をご覧ください。
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