●Jobgenらは、アルギニンが、カロリーのとりすぎで肥満になることを防ぐことを明らかにしました(J. Nutr. 2008; December 23)。 ラット(SD rat
※)に15週間高脂肪食を食べさせました。その結果、低脂肪食を食べさせたラットに比べて体重は18%増加し、脂肪(白色脂肪
※※)は74%増加しました。次いで、このラットに12週間アルギニンを飲ませました。その結果、アルギニンを飲ませなかったラットでは12週間でさらに脂肪(白色脂肪)が98%増加しましたが、アルギニンを飲ませたラットでは脂肪(白色脂肪)は35%しか増えませんでした。また、アルギニンを飲ませたラットでは血液中のブドウ糖(血糖値)および中性脂肪が低下しました。
これらの結果から、アルギニンはカロリーのとりすぎで肥満になることを防ぐことが明らかになりました。
SD rat
※:普通のラットです。通常の人と同じように、普通の食事では肥満になりませんが、高カロリーの食事を食べ続けると肥満になります。
白色脂肪
※※:脂肪には白色脂肪と褐色脂肪がありますが、白色脂肪が脂肪の大部分を占めます。
アルギニンは、成長ホルモンの分泌促進や一酸化窒素(NO)などの働きを介して、脂肪の分解、筋肉の増加、代謝の促進などにより、体脂肪や体重を減少させ、望ましいプロポーションをつくることが期待されています。そのため、アルギニンはダイエット時における強力なサポート役として期待されます。
本文献では、普通のラットに高脂肪食を食べさせることで体重や脂肪が増え肥満になりますが、アルギニンを食べさせることで脂肪の増加が強く抑えられ肥満を防ぐことが明らかにされました。このことは、アルギニンが人においても脂肪の増加を抑え肥満を防ぐことが期待できることを示しています。アルギニンは、さらに、血糖値や血中の中性脂肪も減少させたことから、食べ過ぎから起こる高血糖や高脂血症も改善することが期待されます。これらのことからアルギニンは肥満の改善だけでなくメタボリックシンドロームの改善にも大変有用であることが期待されます。アルギニンは生体成分(体に必要なアミノ酸)であり、また、安全性が高く副作用の心配がほとんど無いため安心して摂取できます。