【消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)とはどういう病気でしょうか】
●消化性潰瘍とは、胃や十二指腸の組織の一部が胃酸や消化液によって侵され、組織表面の粘膜から筋肉層にかけて組織に傷ができる病気です。消化性潰瘍には、胃潰瘍と十二指腸潰瘍があります。
●胃・十二指腸潰瘍の患者数は31.8万人と見積もられています(平成26年患者調査。厚生労働省)。
●消化性潰瘍は、防御因子(胃や十二指腸の組織を攻撃因子から守っている因子)と攻撃因子(組織を攻撃する因子)のバランスがくずれてできると考えられています。
防御因子には、胃や十二指腸の粘膜の抵抗力、粘液の状態、粘膜の血流などがあります。攻撃因子としては、胃酸や消化酵素、食物などの機械的刺激、ヘリコバクター・ピロリなどがあります。健康なときはこの両因子のバランスはうまくとれているのですが、何かの原因で、攻撃因子が強くなったり、防御因子が弱くなると潰瘍になると考えられています。
●胃潰瘍は、ヘリコバクター・ピロリ、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、ストレスなどの影響で、胃の血液循環が悪くなったり、胃の粘膜の抵抗力が弱くなったりして、主に防御因子が弱くなってできると考えられています。
胃潰瘍の危険因子は、ヘリコバクター・ピロリ、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、ストレス、高濃度のアルコール、喫煙などです。
胃潰瘍の症状は、腹痛、出血(吐血、下血)、過酸症状(胸やけ、げっぷなど)などです。
胃潰瘍の診断は、潰瘍の有無や潰瘍の性質をつかむためX線検査や内視鏡検査を行います。そのほか、胃液検査や血液検査を行います。ピロリ菌に感染している可能性がある場合はピロリ菌の検査を行います。
胃潰瘍の治療は、先ず危険因子の除去です。非ステロイド抗炎症剤(NSAID)を服用している場合は原則としてそれを中止します。ピロリ菌の検査でピロリ菌が見つかった場合は除菌を行います。これらによって治療が成功しなかった場合や、ピロリ菌が見つからないときは、薬物療法を行います。薬物療法には、胃酸の分泌を抑えて攻撃因子を抑制するためにH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害剤などが用いられます。また、弱くなった防御因子を高めるため、粘膜保護剤やプロスタグランジンなどの防御因子増強剤が用いられます。
●十二指腸潰瘍は、胃酸の分泌が多くなり、攻撃因子が強くなってできると考えられています。
十二指腸潰瘍の危険因子は、ヘリコバクター・ピロリ、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、ストレスなどです。
症状は、夜間や空腹時の著しいみぞおちの痛み、胸やけ、出血(下血が多い)などがみられます。
診断は、問診、腹部の触診や腸の動きを調べる聴診、X線検査、内視鏡検査などが行われます。
十二指腸潰瘍の治療は、胃潰瘍の場合と同様先ず危険因子を除去します。非ステロイド抗炎症剤(NSAID)を服用している場合は原則としてそれを中止します。ピロリ菌の検査でピロリ菌が見つかった場合は除菌を行います。それによって治療が成功しなかった場合や、ピロリ菌が見つからないときは、薬物療法を行います。薬物療法には、胃酸の分泌を抑えて攻撃因子を抑制するためにH2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害剤などが用いられます。また、弱くなった防御因子を高めるため、粘膜保護剤やプロスタグランジンなどの防御因子増強剤が用いられます。
【消化性潰瘍のアルギニン療法】
1.消化性潰瘍に対するアルギニンの効果
〔以下のアルギニンの働きは国際的な一流の医学誌や科学誌に掲載された信頼できるデータに基いたものです。詳しくは
≪アルギニンが抗潰瘍作用を示す例≫をご覧下さい〕
●アルギニンは、胃の血流の低下を改善し、傷ついた胃粘膜の治癒を促進しました。
●アルギニンは、潰瘍部分の血流と血管新生を増加させ、胃潰瘍を改善しました。
●アルギニンのこれらの作用は、主にアルギニンから生成した一酸化窒素による作用と考えられました。
●このように、アルギニンは、主に一酸化窒素を介した作用によって防御因子を増強することで、消化性潰瘍(特に胃潰瘍)を予防・改善することが期待できます。
●アルギニンは、ストレスなどで消化性潰瘍が心配な方、あるいは消化性潰瘍でお悩みの方におすすめします。アルギニンは天然成分のため副作用の心配はほとんどないと考えられます。
2.アルギニンの摂取方法
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通常のアルギニンサプリメントの場合
消化性潰瘍の予防や治療にアルギニンを使用するときの摂取量は、アルギニンとして1日2〜4g程度の摂取(1日2〜3回に分け摂取)から始めるのがよいでしょう。その後、効きめを見ながら摂取量を調節します。
なお、アルギニンを大量(例えば1日3g程度以上)に、そして(または)長期間(例えば3ヶ月程度以上)摂取し続けた場合、アルギニンの効果が弱くなったり、消失したりする可能性が高いですのでご注意ください(これについては『アルギニンサプリメントの正しい選び方』をご参照下さい)。
●『進化型スーパーアルギニンサプリメント』の場合
アルギニンの問題点を克服し効果が大幅に高まることが期待できる『進化型スーパーアルギニンサプリメント』の場合、アルギニンとして1日1g程度の摂取から始めます。効きめを見ながら摂取量を調節します。効果をあらわす摂取量は個人によって異なる場合があります。なお、『進化型スーパーアルギニンサプリメント』の場合、そのアルギニン1gは、通常のアルギニンサプリメントのアルギニン6〜8g程度あるいはそれ以上に相当すると考えられます。また、アルギニンを大量(例えば1日3g程度以上)に、そして(または)長期間(例えば3ヶ月程度以上)摂取し続けても、アルギニンの効果が弱くなったり、消失したりする可能性は低いです(『アルギニンサプリメントの正しい選び方』もご参照下さい)。
●アルギニンを摂取する場合の注意点
これについては『アルギニンサプリメントの正しい選び方』をご覧ください。
≪アルギニンが抗潰瘍作用を示す例≫
●Brzozowskiらは、アルギニンが、種々の潰瘍モデルに抗潰瘍作用を示すことを報告しました(Digestion, 1995; 56: 463-471;
J. Gastroenterol., 1997; 32: 442-452)。
胃潰瘍モデルは、ラットへの100%エタノール、アスピリン、または酢酸の適用(投与)、または水侵ストレスによって作成しました。これらのモデルにアルギニンを経口投与(胃内)しました。アルギニンは、胃液の分泌には影響しませんでしたが、胃潰瘍病変を改善しました。病変の50%を改善するのに要する投与量は60〜100mg/kg(体重)程度でした。アルギニンの投与によって、病変部位の血流および血管新生は増加しました。一方、一酸化窒素合成酵素阻害剤(L−NNA)はモデルの胃病変を悪化させ、病変部位の血流と血管新生を減少させましたが、アルギニンはこれを回復させました。このように、アルギニンは、胃の一酸化窒素の産生を高めることで、胃潰瘍病変を改善し、胃の血流および血管新生を増加させるものと考えられました。
●このように、アルギニンは、抗潰瘍作用を示しました。